江東区介護事業者連絡会から江東区への現状報告及び要望

この度、連絡会の会員に「コロナウイルスの感染拡大の影響に
ついての現状報告と区への要望」としてアンケートをとり、
その内容をまとめて、区に提出してきました。
その報告をまとめましたので、ご確認をお願いいたします。
区に提出した要望についての答えは区から返答があり次第HPにアップします。

介護支援専門員部会

1 現況報告
①サービス休止・中止による業務への支障
・通所サービス等が休止になり、代替サービス等の調整が大変だった(入浴対応・訪問への切り替え・人員不足や感染不安で代替サービスがない等)
・サービス休止や利用中止のため、給付が発生せず収入減になった事業所もあります。
②利用者・家族対応
・サービス休止や連日の感染報道で利用者・家族の不安が大きくなり、不満・苦情・ストレスへの対応が増えた。
・長期間のサービス休止で利用者のADL低下や体調変化がみられました。
・訪問拒否、また反対に寂しいからと長時間の訪問を求められた。
・熱発者への対応に現場の不安が大きかったです。(ヘルパー派遣・福祉用具納品・訪問等)
・状態が急変した時に早急に対応することが困難だった事例もあり。(通院・サービスの見直し等)
③モニタリング・担当者会議・退院時連携等
・担当者会議は3密を避けて、場所や出席人数を考慮し照会で対応しました。
・モニタリングは電話連絡で拒否があれば利用票を郵送、投函するなど工夫しました。
・コロナを警戒され、容易に通院等医療につなげられなかった例もありました。
・退院前カンファレンスで病院に出向く必要があり、感染の不安を大きく感じることがありました。
・認定調査の委託を受けているため、感染不安の中で訪問を継続する他ありませんでした。

2 要望
①情報
・当初、居宅の業務について区に確認をしたところ「国のQ&Aに準ずる」とのことで、区としての具体的な方針等の発信がなかったため、事業所毎やケアマネ毎に対応が統一できず困る場面が多かった事を受け、今後はケアマネジャーの業務(モニタリング・担当者会議等)について早い段階で保険者としても具体的な指示や考え方、緩和策を示していただければ、安心して業務ができます。
・今後、保険者と事業所が一緒に意見を出しあえるネットワークができれば、情報共有・良い関係性・協働ができると考えます。この機会や経験を今後に生かせるようぜひ情報共有と体制作りを一緒に行なってください。
また今回の感染症の拡大により、ショートや通所が使用できなくなり、関連するケアマネジャーの負担の集中が見られましたので、上記ネットワークと共にショートやデイが使用できなくなった場合における在宅介護サービス非常時のガイドラインの策定を共にすすめてもらいたいです。
②支援
・私たちは医療従事者と同じで対人援助職です。日々感染のリスクと向き合いながら仕事をしていることを精神的・物理的に後方支援していただければ、うれしいです。

3 その他
・認定調査の委託については、調査を受ける本人家族の感染リスク、調査員の感染リスクを考えると、この時期更新の方だけでも認定期間を延ばして調査の数を減らすことも必要ではないでしょうか。

ケアマネ部会のアンケートまとめについては下記を参照して下さい。

https://kotoku-kaigo.org/wp-content/uploads/2020/05/ケアマネ部会-アンケートまとめ.pdf

訪問介護部会

1 現況報告
①業務量
・通所サービスの休業、自粛、利用者の利用控えに伴い訪問介護サービスに代替えする例はあるものの、家族の在宅勤務により業務量の大幅な増にはなっていない状況で、事業所によっては大幅な減少となっている所もあります。
②職員数
・子供の休校・休園、職員本人の不安、家族の反対、職員自身の基礎疾患により休止、本人や家族の体調不良の理由による勤務見合わせ等もあり、職員数が大幅に減少しており、業務に支障をきたしています。
③物資
・マスク、消毒液、ゴム製グローブ、体温計、防護服、フェイスシールド等の物資が不足またはゼロ。
また、以上の物品の価格高騰により事業所の経費負担が増えている。
④情報
・充分な情報がない、または情報が錯綜し真偽が不明な中、訪問の依頼を受けサービス提供を求められている。
・日毎に情報が変わり「A利用者は濃厚接触者ではない→濃厚接触者である」、「PCR検査を受ける予定→検査を受ける必要はない」等の情報に振り回された事例が何件かありました。
・訪問介護の登録ヘルパーの場合、他社に複数登録していたり、デイや有料ホームとの掛け持ちで仕事をしている場合があり、各事業所での感染状況をそのヘルパーが把握し掛け持ちをしている事業所に伝えなければ、雇用している事業所に知るすべがなく、感染者が発生した事業所の職員等への情報伝達も大事になってくると思います。
⑤その他
・利用者及び利用者家族が訪問時にマスクを装着していない場合が多々あります。
・利用者及び利用者家族が体温測定等をしておらず、訪問時の対応に不安があります。
・買い物代行時に店舗の混雑や入場規制により時間内にサービスを終えることが出来ない場合があり、その場合での延長分の請求は出来ない状況です。

2 要望
①情報
・利用者及び利用者家族に「マスク装着、体温測定、自宅内の換気等」の感染予防策の呼びかけを行政側からも行っていただけると助かります。
②支援
・区内のスーパー等に対し、「介護レジ・高齢者レジ等」の設置を行政から呼びかけていただきたいです。

*区内の事業者における感染者の発生状況の情報発信及び行政に対してのマスク等の物資の希望、感染者が発生した場合の事業者への補助については共通の要望に合わせて記載しています。

訪問介護部会のアンケートまとめについては下記を参照して下さい。

https://kotoku-kaigo.org/wp-content/uploads/2020/05/訪問介護部会 アンケートまとめ.pdf

通所介護部会

1 現況報告
①営業
・回収したアンケート(105件配布、68件回収)によると、4件の休業、サービス提供時間の短縮、新規の利用者の受け入れ中止等の対応をしている事業所も見受けられますが、殆どの事業所は平常通りの営業をしています。
②職員について
・不安により休みを希望する職員が何人かおり職員数の減少している事業所もあるようですが、利用者の不安によるサービス控えにより営業には大きな問題はないようです。
・サービスの性質上、営業する限りは利用者との濃厚接触は避けられないので、職員は日々大きな不安と向かい合いながら仕事をしており、あまり長くこの状況が続くようであれば、少しずつ色々な問題が出てくると考えられます。
③物資
・マスク、消毒液、ビニール手袋、ゴーグル等は不足しています。
・高価でも買えればまだ良いのですが、手に入らない状況は職員の立場からは非常に不安です。
④情報
・拡大防止には情報発信が必要だと思うが、関係ない情報はただ不安を煽ることにもなりかねず難しい所です。しかしながら、大多数の事業所からは感染者が出た場合は「江東区のケア倶楽部を通じて発信してほしい」、「自社の利用者が感染した場合でも、ケア倶楽部を通じて情報発信してほしい」という事業所が多かったです。
⑤その他
・非常災害情報が発令された際に協力できると回答した事業所は42件ありました。また、非常災害時に移動困難者を避難所まで送迎できると回答した事業所は28件ありました。
各事業所毎に事業が違うため、事前の打ち合わせには時間をかける必要があるかと思います。

*アンケートの結果は近日、江東区介護事業者連絡会のHPにアップする予定ですので、お時間があればご確認ください。

2 要望
*区内の事業者における感染者の発生状況の情報発信及び行政に対してのマスク等の物資の希望、介護事業所専門の感染症対策窓口の設置については共通の要望に合わせて記載しています。

通所介護部会のアンケートまとめについては下記を参照して下さい。

https://kotoku-kaigo.org/wp-content/uploads/2020/05/通所部会 アンケート内容集計.pdf

https://kotoku-kaigo.org/wp-content/uploads/2020/05/通所部会 アンケート内容.pdf

施設部会

1 現況報告
①事業として
・感染が拡大している中、利用者や職員をどこまで守れるか不安です。
特に施設ではクラスターに発展し易く、一人でも感染者を出してしまったら大きなリスクを抱えてしまい倒産も考えなくてはいけなくなります。
②職員について
・現在は感染してはいけない、施設にウイルスを持ち込んだらどうしようとの不安の中、対策を行いながらぎりぎりのところで仕事を続けていますが、この状況が続くと離職してしまう職員も出てくると思います。
③物資について
・感染対策に必要な物資が不足しています。(マスク、袖付きエプロン、ビニール手袋、フェイスシールド、消毒液等)
・上記物資については値段が通常時よりも高騰していますが、買わざるを得ない状況です。

2 要望
①医療体制について
・発熱した入居者はただちにPCR検査を受けられるシステムを取り、陽性であれば速やかに区内外の病院に入院できる体制にしてもらいたいです。実際、ホームでPCR検査もできず発熱をしている入居者を隔離してみたとしても職員のメンタルや限られた物資の中、対応していくのにも限界があります。

*区内の事業者における感染者の発生状況の情報発信及び行政に対してのマスク等の物資の希望、介護事業所専門の感染症対策窓口の設置、感染者が発生した場合の事業者への補助については共通の要望に合わせて記載しています。

施設部会のアンケートまとめについては下記を参照して下さい。

https://kotoku-kaigo.org/wp-content/uploads/2020/05/施設部会 アンケートまとめ.pdf

福祉用具部会

1 現況報告
①営業
・居宅等への営業は自粛し、訪問等は控えていることで、職員の出社等は会社で調整等をおこなっている。
②仕入れについて
・車いす等を中国のメーカーから仕入れていることが多く、物流が滞り色々と支障が出てきています。

2 要望
・住改及び特福の窓口の申請についてですが、区役所への訪問を自粛し、郵送での書面のやりとりの指示を受け実行していますが、今までより手間がかかり業務に支障があります。また、時には窓口で書類の提出が可能等の話もきいており、今後の手続きについて再度見直しをしていただきたいです。

 希望としては、感染のリスクはありますが、こちらはなるべく万全の予防をしていきますので、今まで通り窓口で申請させてほしいという声が多くありました。

 部会で重複している要望
①感染予防に関わる物資の支給及び優先販売のお願い(全部会より)
・マスクは最近では少しずつ市場に出回ってきていますが、以前は1枚3円ほどで仕入れていたため依然法外な金額にて購入可能となっていますので、今後も事業所毎に支給をしていただけると助かりますが、安価に優先販売をしていただいても需要は大いにあると思われます。また、消毒液、体温計、体温計用のボタン電池、フェイスシールド等の感染予防品については市場の流通は未だ充分ではないようなので、区でどうにか確保していただき、区内の事業者に優先販売をしていただけると助かります。
②感染者の情報提供について(全部会より)
・区内の介護事業所から利用者、職員含めて感染者が発生した場合、ケア倶楽部等の媒体を通して速やかに情報の発信をしてもらいたいです。
また、それが無理であれば感染者が発生した事業所を通してしっかりと漏がれなく担当の介護支援専門員、各サービス事業者に必要な情報が行き届くように指導等をしていただけると助かります。
③相談窓口の設置について(通所介護、施設)
・区では保健所へ電話するように案内をしていますが、保健所の電話はいつも繋がりにくく、また、区内のすべての方からの電話を受けていると思うと、事業所の予防の相談や利用者の症状について聞きたい事があっても気を使い連絡しづらい状況もあります。
区役所等で介護事業所の感染症対策窓口を設置してもらえると助かります。できればPCR検査の実施の調整等もしてもらえると安心できます。
④事業者への補助について(訪問介護、施設)
・実際に事業所で感染者が発生した場合は、施設の休止もしくは縮小等の対応で、事業の運営に大きく響く事態が想定され、その場合の何らかの金額的な補助があるといくらか安心して業務を継続できると思いますのでご検討いただけると幸いです。

最後に

実際に感染者が発生した事業所からは保健所及び区の福祉課長の迅速な対応やその後のフォロー等が非常にありがたかったという声がありました。また、先日を含めた2度のマスク配布はどの事業者からも本当に助かった、ありがたかったと感謝の声がありましたのでお伝えいたします。

今回の新型コロナウィルスの感染拡大における現在の事態はすべての人が初めての経験だと思います。

私達も迷いながら、悩みながら、利用者と利用者の家族、職員とその家族の健康と生活を守っていきたい、そして介護従事者の負担を軽くしたいと奔走しています。

判断に迷い、困った時は相談できると助かります。その時はぜひ知恵と力を貸してください。

私達は目の前の介護が必要なご利用者様に対して、万全の予防策を取りながらこの厳しい状況下でも懸命に今後もサービスを提供し続けていきますので、お互い協力しあいながら、この難局を乗り越えていきたいと思っております。